ITエンジニアの副業、始め方と注意点|会社バレのリスクと就業規則・確定申告の基礎知識

キャリア戦略・働き方

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、就業規則の解釈や税務上の取り扱いについて、個別の法的・税務アドバイスを行うものではありません。実際の対応にあたっては、勤務先の就業規則の確認、および税理士・所轄の税務署など専門機関への相談を推奨します。

はじめに

働き方改革や副業を容認する企業の増加を背景に、「副業」という選択肢に関心を持つITエンジニアが増えています。パーソル総合研究所が2025年8月に実施した調査(企業1,500社・個人6万人以上を対象)によると、正社員の副業実施率は2018年の調査開始以来最高の11.0%に達し、企業の副業容認率も64.3%まで上昇しています(出典: パーソル総合研究所「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」)。

本記事では、ITエンジニアが副業を始める前に押さえておきたい基礎知識(就業規則・確定申告)、会社に副業が知られる典型的な原因と回避のポイント、案件の探し方、本業との両立のコツを整理します。なお、副業に関するルールや税務上の取り扱いは個々の状況によって異なるため、本記事はあくまで一般的な情報提供にとどまる点にご留意ください。

1. なぜ今、ITエンジニアの副業が注目されているのか

前述のパーソル総合研究所の調査が示す通り、副業を容認する企業は増加傾向にあります。またレバレジーズ株式会社が実施した調査(20〜29歳のITエンジニア・クリエイター207人を対象、2022年5月公表)では、正社員の58.5%、フリーランスの75.2%が「空いている時間に副業をしたい」と回答しており、ITエンジニア・クリエイター全体で見ても副業への関心は高い水準にあるとされています(出典: レバレジーズ「約7割のITエンジニア・クリエイターが副業を検討」)。この調査自体は2022年時点のものであり、その後の状況を完全に反映しているとは限りませんが、複数の調査で副業への関心の高さは一貫して示されています。

ITエンジニアの副業が注目される背景としては、次のような点が挙げられます。

  • リモートワークの普及により、時間・場所の制約を受けにくい働き方がしやすくなったこと
  • IT人材不足を背景に、企業側が正社員採用だけでなく副業・複業人材を活用する動きが広がっていること
  • スキルアップや収入源の分散、将来的な独立・フリーランス転向を見据えた「お試し」の場として副業を位置づける人が増えていること

一方で、副業には後述する就業規則・税務上の注意点や、本業との両立の難しさも伴います。始める前にリスクと対策を理解しておくことが重要です。

2. 副業を始める前に確認すべき就業規則・確定申告の基礎知識

副業を始める前に、まず自社の就業規則を確認しましょう。副業を全面的に禁止している企業もあれば、届出制・許可制で一定の条件のもとに認めている企業もあります。厚生労働省の「モデル就業規則」では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的に労働者の自由であるとしつつ、届出制を設けることを想定した規定例が示されています。ただし、これはあくまでモデル(参考例)であり、実際の運用は企業ごとの就業規則の定めに従う必要があります。

税務面では、副業による所得が一定額を超える場合、確定申告が必要になります。会社員が副業(給与所得以外の所得)を得た場合、一般的には副業の所得(収入から必要経費を差し引いた金額)が年間20万円を超えると確定申告が必要とされています(住民税の申告は別途必要になる場合があります)。ただし、所得の区分(雑所得・事業所得など)や具体的な要否の判断は個々の状況によって異なるため、正確な取り扱いについては国税庁の公表資料や税理士への確認をおすすめします。

3. 会社に副業がバレる典型的な原因と回避策

副業が会社に知られる原因として、よく指摘されるのは次のようなケースです。

  • 住民税額からの推測: 副業分の所得を確定申告する際、住民税の徴収方法を「特別徴収(給与天引き)」のままにしておくと、副業分の所得が合算されて会社の給与担当に通知される住民税額に反映され、金額の変化から気づかれる場合があります。確定申告書の住民税に関する項目で「自分で納付(普通徴収)」を選択できる場合があり、これにより副業分の住民税を個人で納付する形にできるケースがあります(自治体によって運用が異なる場合があるため、居住する自治体・税務署に確認することをおすすめします)。
  • SNSや周囲からの情報: 副業の実績をSNSで発信したり、同僚・知人に話したりしたことがきっかけで伝わるケースも少なくありません。
  • 本業への支障: 副業による疲労で本業のパフォーマンスが落ちる、勤務時間中に副業関連の連絡をしてしまうなど、行動面から気づかれるケースもあります。

なお、副業が「会社に知られるかどうか」と、「就業規則違反にあたるかどうか」は別の問題です。届出制の会社で無届けのまま副業を行うことは、たとえ会社に知られていなくても就業規則違反となる可能性があります。「必ず会社にバレない」方法があるわけではなく、リスクを完全にゼロにすることは難しいという前提のもと、まずは自社のルールを確認し、可能であれば正式な届出・許可のプロセスを踏んだ上で副業を行うことが、最もリスクの低い進め方だと言えます。

4. 副業案件の探し方(クラウドソーシング/エージェント/知人紹介の違い)

ITエンジニアが副業案件を探す主な方法には、次のようなものがあります。

  • クラウドソーシングサービス: 不特定多数の発注者が案件を掲載し、応募・受注する形式。案件数が多く未経験でも挑戦しやすい一方、単価が低めの案件も多く含まれる傾向があります。
  • 副業・複業に特化したエージェント・マッチングサービス: エンジニアのスキル・希望条件に合わせて案件を紹介してもらえる形式。稼働時間や単価の交渉をエージェントが仲介してくれる場合もあります。
  • 知人・前職のつながりからの紹介: 信頼関係がある分、条件面での認識のズレが起きにくい一方、案件の継続性や契約条件を書面で明確にしておくことが重要です。

副業案件を探す際は、複数のクラウドソーシングサービスや副業エージェントに登録し、実際にどのような案件が自分のスキル・稼働可能時間に合うかを比較してみるとよいでしょう。多くのサービスは登録・案件閲覧が無料で行えるため、まずは情報収集から始めるのも一つの方法です。

5. 未経験でも受注しやすい副業案件のタイプ

副業としてエンジニア案件に初めて取り組む場合、次のようなタイプの案件は比較的着手しやすいとされています。

  • 既存システムの軽微な改修・バグ修正: ゼロからの設計・構築ではなく、既存コードへの追加対応であれば、要件が明確で取り組みやすい傾向があります。
  • ノーコード・ローコードツールを使った制作: プログラミングの専門知識がなくても対応できる範囲の案件から始め、徐々にスキルの幅を広げる進め方もあります。
  • ドキュメント作成・技術記事執筆: 開発経験を活かしたテクニカルライティング系の案件も、副業の入り口として選ばれることがあります。

いずれの場合も、本業の就業規則や情報管理の観点から、本業で得た機密情報・技術情報を副業先で流用しないよう十分注意する必要があります。競業避止義務(同業他社での副業を制限する規定)が就業規則に含まれている場合もあるため、案件を受注する前に業務内容が自社の規定に抵触しないかを確認しておきましょう。

6. 本業と両立するための時間管理・体調管理のコツ

副業を継続する上で、本業とのバランスを崩さないための工夫も重要です。

  • 稼働時間の上限をあらかじめ決めておく: 週あたりの副業稼働時間に上限を設け、本業の繁忙期には副業のセーブを検討するなど、柔軟に調整できるようにしておく。
  • 休息時間を確保する: 副業に充てる時間を増やしすぎると、睡眠不足や疲労の蓄積により本業のパフォーマンスに影響が出るおそれがあります。
  • 契約条件を事前に明確にする: 納期・稼働時間・報酬形態(時間単価か成果物単価か)を契約前に明確にし、後から認識のズレが生じないようにする。

本業のパフォーマンスに支障が出るような副業の進め方は、就業規則違反や信頼関係の毀損につながるリスクがあるため、あくまで無理のない範囲で続けることが長期的な両立のポイントです。

7. まとめ:副業を始める前のチェックリスト

副業を始める前に確認しておきたいポイントを、最後にチェックリスト形式で整理します。

  • 自社の就業規則で副業が認められているか(届出制・許可制の有無を含む)を確認したか
  • 副業の所得が確定申告の対象になる基準(目安として年間20万円超)を理解しているか
  • 住民税の徴収方法など、会社に知られる典型的な経路とその対策を理解しているか
  • 競業避止義務など、案件内容が自社の規定に抵触しないか確認したか
  • 本業に支障が出ない範囲の稼働時間・案件量を設計できているか

副業は収入源の分散やスキルアップにつながる選択肢の一つですが、就業規則・税務上のルールを理解しないまま進めると、トラブルにつながるリスクもあります。まずは自社のルールを確認した上で、無理のない範囲から始めてみることをおすすめします。働き方の選択肢という観点では、本サイトの他記事(SES・自社開発・受託どちらを選ぶべきか)もあわせてご参照ください。

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